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  • 単層カーボンナノチューブ光触媒による水からの水素製造
    • 1. はじめに
    • 2.1 半導体性カーボンナノチューブ

    •  SWCNTsは,飯島らによって発見された日本発の化合物で(3),その直径は約1 nmと,現在,簡単に入手できる一番細いワイヤー状の材料である.特筆すべき性質は,その吸収とバンド構造である.SWCNTの幾何学構造は,グラフェンシートの構造上の原点 (0, 0)を出発し,a1方向にベンゼン環n個分,a2方向にベンゼン環m個分移動した点(n, m)をつなぐヘリシティーベクトルをベースとする半無限の長方形を切り出して筒状に丸めたものとして定義することができる(図1).このとき、(n, m)をSWCNTのヘリシティーと呼び,n = mまたは (n–m)が3の倍数である時は金属性、それ以外の時は半導体性の性質を示す.半導体性のSWCNT (s-SWCNT) は一次元構造により,バンド構造が量子化したファンホーブ特異点と呼ばれる状態密度が特異的に高いバンドをもっている.これはHOMOや LUMOといった分子軌道をもつ有機分子の性質と類似しており,バンド間の遷移に伴う吸収,発光をもつ.(8,3) SWCNTの電子状態密度とエネルギーを図2に示す.(8,3) SWCNTでは,V1からC1への電子遷移およびV2からC2への遷移に伴うE11吸収帯(1000 nm)とE22吸収帯(680 nm)をもつ.これらのバンド構造は,それぞれのヘリシティーで異なるため,s-SWCNTはそれぞれのヘリシティーに応じた光吸収帯を500–1300 nmにもち,水溶液は様々な色を呈する.一般的に古くから市販されているHiPcoチュープは金属性SWCNTsとs-SWCNTの混合物で,様々なヘリシティーのチューブが混ざっているため黒色に見えるが,ヘリシティー分離したSWCNTはカラフルな材料である.さらに,ヘリシティーに応じたバンド構造のエネルギー準位については,九州大学の中嶋らが,蛍光分光電気化学を用いた酸化還元電位測定(4)や,経験式(5)を用いて見積もられており,近年ではバンドチューニングを利用した半導体材料応用が種々検討されている.

      3) S. Iijima, Single-shell Carbon Nanotubes of 1-nm Diameter, Nature, 354, 603-605, (1991).
      4) Y. Tanaka, Y. Hirana, Y. Niidome, K. Kato, S. Saito, N. Nakashima, Experimentally Determined Redox Potentials of Individual (n,m) Single-walled Carbon Nanotubes, Angew. Chem. Int. Ed. 48 (41), 7655-7659, (2009).
      5) Y. Hirana, G. Juhasz, Y. Miyauchi, S. Mouri, K. Matsuda, N. Nakashima, Empirical Prediction of Electronic Potentials of Single-Walled Carbon Nanotubes with a Specific Chirality (n,m), Sci. Rep. 3, 2959 (2013)

    • 2.2 半導体性カーボンナノチューブを光触媒材料に使う上での問題点
    • 2.3  SWCNTを光触媒材料に利用する解決法
    • 2.4 SWCNTを水に可溶な光触媒へ
    • 2.5  SWCNT/C60光機能界面の性質
    • 2.6 SWCNT//C60を用いた光触媒の開発
    • 2.7  様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
    • 3.おわりに
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