教科書を塗り替える発見

今週の講義で学習したように、すべての有機化学の教科書には、「3級炭素 CR3-Y (Y = 脱離基) では、SN2反応は進行しない」と書かれています。この常識を覆す研究が2010年に報告されました(J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 10662. )。次の分子は加溶媒分解を起こすことなく安定に存在し、アジドイオンとの反応では3級炭素上で求核置換反応を起こした化合物が単一の生成物として得られます。反応速度が2次の速度式に乗ることや、溶媒効果などから、これが3級アルキル炭素に対するSN2反応の初めての例であると考えられています。

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