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  • 単層カーボンナノチューブ光触媒による水からの水素製造
    • 1. はじめに
    • 2.1 半導体性カーボンナノチューブ
    • 2.2 半導体性カーボンナノチューブを光触媒材料に使う上での問題点
    • 2.3 SWCNTを光触媒材料に利用する解決法
    • 2.4 SWCNTを水に可溶な光触媒へ
    • 2.5 SWCNT/C60光機能界面の性質
    • 2.6 SWCNT/C60を用いた光触媒の開発
    • 2.7 様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
    •  我々は,s-SWCNT の光触媒特性を向上させるようなナノサイズの分子・材料設計を溶液プロセスで簡便に施せるような技術に関しても,SWCNT 光触媒の研究開始初期からスタートさせてきた.デンドリマーは表面官能基密度が高く他材料との親和性を自由に制御できるため,他材料を容易に担持することが可能である.例えば,SWCNT 光触媒のデンドリマー層に存在する3 級アミンを触媒として,ナノ同軸ケーブル構造のシェル部を無機材料のゾルゲル重合でポリマーラッピングすると,ナノ同軸ケーブル構造を保ったまま,シェル部を無機化合物で修飾することができる14).超分子複合体に,1.0 N 塩酸,次いでテトラエトキシシランを氷冷下で作用させたところ,SWCNT/フラロデンドロン/シリカナノコンポジットを得た.得られたSWCNT/フラロデンドロン/シリカナノコンポジットのSEM 観察の結果,直径80-120 nm,長さ1-2 μm ほどのSWCNTをシリカで覆ったような形状に由来するチューブ状の複合体が互いに重なり合っている様子が一様に観察された(図7).表面をシリカでコーティングしたシリカナノコンポジットの光水素発生実験を行ったところ,超分子複合体を上回る6.1 μmol/h(λ>422 nm)の水素が発生し,その量子収率は31%(λ= 450 nm)にまで達した14).シリカ自体は絶縁体であるので,一見同軸ケーブル状ナノ炭素光触媒の活性には関係しないように見えるが,シリカで表面修飾した際に表面に存在する水酸基とMV2+との相互作用は,非シリカ修飾時に表面に存在するデンドロンのカルボキシラートとの相互作用に比べ弱いため,MV2+が電子を受け取り,MV+·となった時に溶液内に拡散しやすくなったため,白金ナノコロイドへの電子移動がスムーズになったものと考えている.また,シリカの代わりに,電子輸送剤として良く利用されるTiOx で被覆すると,その量子収率は47%(λ=450 nm)にまで達した18).電子輸送層としてコーティングしたTiOxにより,効果的に逆電子移動を抑制し白金ナノコロイドへの電子移動がスムーズになったものと考えている.これらの結果は,s-SWCNT の光触媒特性を向上させるようなナノサイズの分子・材料設計を溶液プロセスで簡便に施せることを意味しており,興味深い.

    • 2.7  様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
    • 3.おわりに
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